posted at 2007 8 1 12:45 AM | 車&バイク | comments (0) | trackback (0)


HP2のサスセットについてなど
HP2に装備されているビーエム独創のエアダンパーについて、過日フロントのマルゾッキ倒立フォークとあわせてその特性変化を知るべく、そのためにはまずは標準セットからはじめなければと、オーナーズマニュアルの前後サスペンションのくだりを調達し、指示通りにセットアップした。
HP2のフロントフォークは、圧側伸び側のダンピング調整(マルゾッキお得意の左右独立となっている)に加えてスプリングのイニシャルが、それぞれダイヤルのクリックでアジャストできるようになっているのだが、実際にマニュアルにある「最強から15クリック戻し」の位置にあわせてみると、ほとんど「最弱」に近いところに収まることがわかる。ということは、まだまだハードセット側にたっぷりとセッティングの幅を残してもいるということで、フロントフォーク自体のキャパシティは決して小さくはないようだ。
リヤのエアダンパーも同様で、マニュアルの指示に従い、乗り手の体重を目安にした正規の与圧(体重100kgで7.5bar、同80kgで6.5bar)をかけてみると、空車1Gはもとより、乗車1Gでもほとんど初期の沈みこみがなく、水準器で見ても明らかに後ろあがり。試しにこの状態で一度走ってみたが、そこそこのスピードでも、エアダンパーはほとんどストロークせず、いわゆるリジッド状態で、トラクションがかからずリヤが安定しない。ということからもわかるように、すでにこの状態で、相当なハイスピード、大入力にあわせたセットアップにもなっているようだ。
その後水準器を頼りに、乗車1Gでの車勢をあわせるべくエアを抜いていくと、ぼくの体重(約90kg)でも、エアの与圧は5.0bar前後でよいことがわかった。その5.0barでまたがると、前回のリポートでも書いたように、乗車1Gでリヤが大きく沈み込むとともに、そのままではまるでダンパーが抜けたスプリングだけのサスのように上下に大きな挙動が出るが、どうもこれは、この静止状態での乗車1Gに対する入力に対しては、いわゆる伸圧に対するダンピング機能が作動しない(のではないか)というBMWエアダンパーの特性のひとつが作用してもいるようで、その証拠に、走り出すととたんにそうしたふわついた挙動がすぐに消えてなくなるとともに、通常のサスではありがちな1Gを抜いたがゆえの初期の余分な沈み込みでビギニングが犠牲になり、リヤ下がりで車体の反応自体も悪くなってしまうというような兆候もなく、別の誌面でもリポートしたが、そこからそのまま加速していけば、エアダンパーのほうで路面とスピードにあわせて適正な減衰力を自動的に調整。アクセルを開けている限りつきあげも底付きもなく、リヤ回りは絶大な接地感に包まれたまま、1200ccの強大なトラクションに押し出されるようにマシンが勝手に前へ前へと進んでいく。
そのときのフロントサスのふんばりも確かなもので、オイルヘッド系のテレレバーのように、グリップの悪い路面になればなるほど、突然フロントからどこかへ行ってしまうというようなことはまずもってありえないだろうと断言できるほどの前輪のスタビリティ&リヤのエアダンパーによる接地感で、とにかくこれでもかとアクセルを開けられる。しかも、もともとトルク型でスロットルを開けやすいという特性も大いにプラスに働いて、エンデューロバイクなどをそれなりに操れるひと=オフロードライディングの基本的なスキルが身についているひとなら、この排気量と車格がうそのように攻めの走りに持ち込むことは、いとも簡単。そのときのどこまでも太く大きな独特の走りのフィーリングもHP2ならではのものであり、これはもうやはり、病み付きになってしまうおもしろさだ。
で、サスセットについていえば、ここまで実際に走ってみたぼくの印象では、総じてスピードの出ない日本のフィールドでは、マニュアルの指示よりもソフトセットのほうが、おおむね相性がいいのではとも思う。ただ、先のGSチャレンジで久々にお会いしたGSマフィアのT中さん(間違いなくHP2を日本でいちばん乗り込み、その詳細を把握しているのがT中さんだろう)によれば、彼の体重(詳しくは聞かなかったが、きっと70kgくらいだろう)でもリヤは6.5barと高めの与圧をかけ、それにあわせてフロントもイニシャルをしっかりかけフォークの突き出しも下げた、より車高の高いハードセットな状態で乗ったほうが、スイングアームのたれ角やキャスタートレールなど車体のジオメトリー的にもより本来のものとなり、結果マシンの動きにきびきび感が出てギャップの走破性も向上。縦の動きにもしっかりついていけるようになるとのこと(ただし、足付きは相当犠牲になるうえに、ハードセットゆえの手強さはあるとのことだった)で、それはそれで今度ぜひ試してみたいと思った。
また、最近気付いたことなのだが、エアダンパーに身体がなじんでくると、今度は通常のサスペンションのバイクに乗ったときに、その動きが反対に違和感となって感じられるということで、そもそもそのことが何に端を発しているのか・・・エアダンパー自体をもっと解析しないとわからないような気がしてならない。
と、今回はBMWエアダンパーのセットアップのおはなしに終始してしまったが、最近になってX-Challengeも登場し、エアダンパーユーザーもさらに増えているという点では、各自のサスセット時の参考にでもしていただければ幸いだ。
■BTM2007年7月号に寄稿したものを再録しました。

乗れば乗るほどに、その独自の世界にひかれていくHP2。写真は前後モタードホイールをセットしていたときのえんげつ号との走り。現在はフロント21インチに変更。その姿も近々にお見せしたいと思っている

これがHP2のサスセットの基準となる車体に装備された水準器。乗車1Gで、この水準器内の気泡がちょうどセンターの枠内に収まるように、各自の体重にあわせてリヤのエアダンパーの与圧を調整するだけで、あとはエアダンパーのほうが、走行状態やそのときの荷重にあわせて、自動的に減衰圧を調整してくれる。フロントサスペンションは圧側伸側に加えて、スプリングのイニシャル調整機構も持ついわゆるフルアジャスタブルだ

こちらはエアダンパーの与圧調整用のエアインフレーター。これをエアダンパーユニットの口金部に接続し、タイヤにエアをいれるときと同じ要領でエアを足していく。空気を入れながらインフレーター上部のインジケーターで、与圧の状態がひと目でわかるようになっている
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