posted at 2007 7 3 12:18 AM | 車&バイク | comments (0) | trackback (0)


HP2がやってきた
BMWが一昨年の夏に突如リリース。世界中のオフローダーの度肝を抜いたのが、みなさんもよくご存知の元祖メガオフHP2 Enduroだ。既存のビッグオフをはるかにしのぐそのオフ性能はもとより、完全限定受注生産でごくわずかしかデリバリーされないことや250万円に届く価格など、異例づくめの謎めいたマシンとしても記憶に新しい。そんなHP2に今シーズンライドできるという、なんとも幸運な機会が訪れたのだ。うひょ…。
というわけで、ぼくのガレージにHP2がやってくることになったのだが、そもそもの事の発端は、ぼくが主宰しているバカミー(GSバカミーティング)の仲間であるえんげつことO家さんから「よかったら、ぼくのHP2に乗りますか」という申し出をいただいたことからはじまる。
いきなりのそれも普通はあり得ない申し出に、はじめは自分の耳を疑ったが、よくよく聞いてみると、O家さんはHP2登場と同時に同車を手にいれ、それまで所有していた1200GSと2台体制で乗ってきたということだったが、今年は仕事が忙しくバイクに乗る時間自体があまり取れそうにないことと、どちらかといえば1200GSのほうが自分の感性や使い方にあってもいることなどから、HP2はどうしても充分に乗ってやることができないというところで、ガレージに寝かせておくよりは、貴重なマシンでもあり、またHP2についてはまだまだ情報も少ないことから、それなら本来の使い方で、あちらこちらで走らせたほうが、バイクにとってもまたシーンにとっても、いろんな意味でよいだろう…ということで、ぼくにはなしを持ってきてくれたのだ。
もちろん、ぼくとしては、このうえもなくありがたくまたよろこばしい仲間からのオファー。「今年乗れないO家さんのぶんとその思い=友情をのせて精一杯走らせてもらいます」ということで、彼の大切なHP2を借り受けることになったのとともに、ぼくが個人的に走らせるだけでは余りにももったいないはなしなので、えんげつ&オンザロードの共同プロジェクトとしてO家さんにも企画に参加してもらい、折に触れてHP2のリアルレポートを、ぼくたちのところから発信していこうということになったのだ。
と、そんなこんなで、ぼくのもとにやってきたHP2えんげつ号。前述のO家さんのチョイスで、純正の前後17インチホイールを履かせたストリートホイール仕様だ。マツモト的にはすぐにもオフロード仕様に戻して…という気持ちもあったのだが、これはこれで面白そうだし、インチダウンされているぶん足付きがよくなっており、ストックのシート高に比べ不安なく扱えるということもあり、まずはこのモタード仕様で、少しいろんなシチュエーションを走り込んで見ることにしたのだ。で、正直走り出す前は、いかにHP2とはいえ、この仕様ではオフロードでは満足に走れないだろうと思っていたが、よほどのバッドコンディションにでも遭遇しない限り、このままで何の問題もないと思えるほどのダート走りっぷりに驚かされることしきり。
フロントにマルゾッキのアップサイドダウン、リヤにBMW独創のエアダンパーシステムを持つ前後サスペンションは全体にソリッドな印象で、そのことでややもするとハードセットだと思いがちだが、しばらく乗っているうちに本当はそうではないことがわかってきた。なるほどギャップ通過時など、パーシャルでリヤにトラクションがあまりかかっていない状態だとエアサスの反応が悪く、いわゆる通常のサスでいうところのリジッド感、キックバック感が顕著で、それがハードセット感、あるいは俗にいう硬い感じとして映るのだが、実際はそうではなく、反対にスロットルオンで通過していくと俄然反応がよくなり、サスの入りもよく太くしなやかな動きに一変する。またそれも既存のサスの伸び側圧側といった油圧&スプリングによるある意味繊細な動きではなく、何かエアダンパー全体でリヤの動きを大きく包み込むように制御しているイメージがあり、悪くいえばそのことが挙動がつかみづらいともとられがちな一面がある反面、スロットルさえ開けておけば、サスのほうでそのときどきの走りにあわせた理想的な減衰力が自動的に働いているようなフィーリングで、シッティングのまま何事もなかったようにハイスピードで大きなギャップを通過することも朝飯前。フロントサスのフィーリングもリヤのエアサスの特性にあわせたもので、決して繊細ではないのだが、一定の入力に対してはやはり太くしなやかな反応を見せてくれる。加えてフラットツインゆえの低重心、しなやかなバードケージタイプのフレーム、シャフトドライブであること、さらには軽量な仕上がりといったことと相まって、結果もたらされるその絶大な接地感と操縦安定性は、フロント17インチのモタードタイヤのままでも、スロットルオンで走っている限りは、どんな路面でもまったく転ぶ気がしないといってもいいほど。その限界は、はっきりいってぼくのレベルの乗り手ではとても探れそうもないほど深淵なところにありそうで、気がつけばナンテヤツナンダと舌をまきながらも、HP2の崇高な世界に感動している自分がそこにいた。いったい、こいつとどこまで行けるのか…この先、いよいよ楽しみになってきたぞ。
これが今シーズン、ぼくがライドさせてもらうことになったHP2。改めて乗ってみてその先進性と完成度の高さには驚かされることしきり。特にオフロードでのリヤに装備されるエアスプリングダンパーがもたらす絶大なる接地感と、路面にすいつくようなトラクションは、既存のサスペンションではなしえなかったものだろう。今後は前後ホイーをオフロード仕様にするとともに、日本のシーンではまだあまり伝えられていないHP2のリアルレポートを、このサイトでもお届けしていきたいと考えている
ヘッドライトはストックのものにかえて、ツアラテックのデュアルプロジェクターライトを装備する。ハイビーム側にはHIDが内蔵され、その明るさは強烈。同じくストックのメーターにかえて、IMOのラリーコンピューターも装備される。オフロード仕様としたときに、ライト回りをストックに戻すかどうかは現在検討中
これがBMW独創のエアスプリング・ダンパーシステム。単にこれまでのサスペンションのコイルスプリングと油圧ダンパーを空気圧にかえたというだけではない、その数々の性能的メリットは、いまだ明らかにされていないことも多いような気もするが、このコーナーでは、そのエアダンパーの秘密にも、もっとフォーカスしていきたいと思っている
今回乗ったHP2はモタード仕様。タイヤはコンチネンタルの「ロードアタック」がセットされていたが、サスペンションがよいせいもあるのだろうけれど、コンディションのいい路面なら、ダートでも全く不安なく走ることができた
ツラーテックのHP2用小型タンクポーチ。ファブリック製のアタッチメントをタンク側に取り付け、そこへワンタッチでセットできるスグレモノ。高速券の出し入れや小物の収納など、ツーリング=ランのときには重宝する。ライディングに影響しないコンパクトさも、このマシンにはむしろあっているといっていいだろう
■バックオフ2007年6月号に寄稿したものを再録しました。
トラックバックURL : http://www.matsumotomichiharu.com/mt/mt-tb.cgi/33

コメントを投稿する